
責任ある安保政策とは
―平和観を積極的に生かす外交戦略を
〔 対 談 〕
■孫崎 享(まごさき うける) 元外務省国際情報局長
■赤松正雄 党外交安全保障調査会長
◇変化する日米同盟
赤松 孫崎先生の著書『日米同盟の正体』を発売と同時に、興味深く読ませていただき、いろいろと考えさせられました。この中で、日米安全保障協力の対象が極東から世界へと拡大していると指摘されています。また、オバマ政権がアフガニスタン支援への貢献を日本に強く要望する中で、従来のような米国一辺倒の外交姿勢では国益を損なうのではないかとも。つまり、曲がり角に来ているとの御認識のようですが、国内議論はそうした変化に対応せず、相も変らない硬直化したものに支配されているかに見えます。結果として迷走していると言われてもしょうがないかもしれません。
孫崎 私の関心事は、これまでどうしてきたかよりも、今後どう生きていくかという点です。日本国民の多くは、アングロサクソンを中心とした米国と協調していけば良いという気持ちが非常に強いと思います。先のイラク攻撃を見ても国民の多くは、100パーセント良いことをしていると考えたわけではなく、日本は米国を重視すべきという流れの中で評価の折り合いをつけたのだと思います。米国を中心とした国際政治の中で日本はどう生きるべきか。その基準の一つは利害損得です。米国と仲良くすれば経済的に良くなるというものです。もう一つは、国としてどう生きていくかです。私は米国の外交戦略が非常に大きく変化していると見ています。残念ながら国際秩序をどう維持するかについての伝統的な西側の理念から少し離れていると感じています。
赤松 そういった兆しは、現オバマ政権になってからということでなく、共和党のブッシュ政権時代からあったということですね。
孫崎 2005年10月にとりまとめられた共同文書「日米同盟 未来のための変革と再編」にも国際の安全保障環境を改善するための軍事手段の行使が記されています。国際政治の環境を改善するという言葉は、何の問題もないように感じますが、例えばイランの宗教指導体制を民主主義体制に変えることが場合によっては、国際安全保障の環境を改善するということに読めます。問題はそういう方向性が、武力を使うのを危機の時に極力限定しようという伝統的流れと別の流れをつくる可能性があることです。これは日本の国際協力のあり方についての核心に触れると思います。
