早朝のランニングに欠かせないツールに、携帯ラジオがある。40分程走りながら聴いてると、役立つ情報も多い。先頃は読書評で名高い児玉清さんがラジオで絶賛していた宮部みゆき「名もなき毒」を読んだ。
青酸カリによる連続無差別殺人事件を題材に、犯罪の本質に迫っていく。「理由」「模倣犯」に繋がるジャンルの作品で、人が持つ悪意を「毒」ととらえ、どこにでもある「毒」に犯される現代社会の恐怖を描く。事の発端がシックハウス症候群で悩む人物というところが妙にリアリズムがある。実は先日、私のところに同症候群に悩む人が相談にきたたばかり。この小説では、後にトラブルメーカーの女性が登場、しだいにみんなが翻弄されていく。
こんなことが身近に起こるととても大変だなと、思わせながらぐいぐい引き込ませる。その技量はさすがだが、どこか物足りなさが残る。宮部ファンならそれなりに盛り込まれた仕掛けに魅了されよう。ただ、市民生活の日常から社会の歪みに迫るという手法は、のんびりしており、スローテンポすぎる。いや、このほんのりとした味がいいとのむきはあろう。
時あたかも私は米テレビ映画「24(トゥエンティーフォー)」に今、すっかりはまっている。映画と小説は違う、とはいえ鑑賞する側は同一人。たてわけられない。あの凄まじい展開に魅いられてしまった身からすれば、刺激がなさすぎる。不幸なことに私の場合は、並行して読み見た二つの組みあわせが悪すぎた。
Posted on 06.12.27 by AKAMATSU Masao
Filed under: 赤松正雄の読書録ブログ

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