「団塊」を創造し、演出する官僚出身作家の重い試み

 2007年―昭和22年から数年間にわたって大量に生まれた、いわゆる団塊の世代(約1000万人)が一斉に定年を迎えだす最初の年。「団塊」の名付け親・堺屋太一氏が2年前に書いた「エキスペリエンツ(経験者) 団塊の7人」をやっと読み終えた。何しろ500頁余りもある。持つのさえ重い。うーん、こんなに長く書く必要はあったのかなあーこれがまず感じた印象。要するに、規格大量生産の時代に生きてきた、職場との縁から抜け切れない世代が、いよいよ職場から離れ、それぞれ地域で知恵と知識に依拠し、老を楽しむ時代に入ってくる、という著者永年の主張の小説化なのである。

 坂本龍生という銀行マン出身の人物の呼びかけに応じて、建築家、イベントのプロ、NPOの代表、元商社マンら、知識と経験に溢れる7人の団塊の世代が、シャッター通りになりかけた商店街を再建するために立ち上がるという話である。それを邪魔せんとする銀行資本との対立・抗争が骨格をなす。登場人物の大半が、明治維新に活躍した歴史上の人物と同名というのがご愛嬌。経済・金融の現場的感覚がない人間にとって格好の教材にはなるものの、劇的な面白さには欠けるといわざるをえない。それなりに女性も登場するが描き方が何かぎこちない。

 もっとも、危機に瀕する地方の街をどう立ち直らせるかという今の日本に共通の悩みに対して、「高齢者が歩いて暮らせる街づくり」の必要性と夢を、元気一杯に一貫して説き続ける堺屋さんには敬服する。先日、姫路の商工会議所が招いて、この趣旨の講演会があり、出向いた。その際に、控え室で、二度ほど「エキスペリエンツ」読んでますよ、と言ったのだが、とくに返答はなかった。2年前の本に今は興味はなく、現在日経に連載中の「世界を創った男 チンギス・ハン」に関心があるに違いない。当方は全く読んでいないので、話題に出来なかった。

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