化学物質過敏症の悲惨な実態に改めて驚く

 昨夕は、神戸で「化学物質過敏症」に悩む若い女性の患者さん(大阪在住)と会い、要望を聞いた。彼女が発病したのは6年前。改装直後のオフィスで仕事をしていると、鼻が痛くなり、粘膜が乾燥し、息苦しくなる症状にさいなまれ、ありとあらゆる病院を転々としたとのこと。3年ほどかかってようやくインターネット上を通じて、化学物質過敏症だと分かり、専門外来のある病院に週三回かかるようになった。

 これまで、過去二回ほどこの症状に悩む人たちの話を聞いたことがある。そんな中で痛恨の極みは、匂いで季節の移り変わりを私自身が察知したり、インクの匂いが大好きだと、不用意に言ってしまったことだ。お会いした患者さんは、化学物質の匂いに耐えられず、都会から但馬の山奥まで移住してきていた。この方にとって私の話は我慢ならなかったようで、不快感を表明されてしまった。弁明したが、あとの祭りだったことが苦い思い出として蘇ってくる。

 この経験があって、昨年9月にNPO法人化学物質過敏症支援センターの皆さんとお会いした際は、余計なことを言わずに言葉遣いにも気をつけたものだ。この病に対する効果的な治療法は現在もなく、厚生労働省の取り組みも決定打を欠いてきた。このため、折角患者団体の皆さんの意見を聞きながら、生かすこともできず、なおざりになってきたことは弁解の余地もない。

 この日の出会いでは、日経スペシャル「ガイアの夜明け 家があなたを壊すとき~シックハウス・化学物質過敏症と戦う~」を見てほしいといわれ、DVDを渡された。帰りの新幹線車中でみた。ひとときも自分の家にいることが出来ず(化学物質のため)、日中は河原で過ごし、夜は知人のお宅を借り歩くといった悲惨なケース。空気の澄んだ田舎に住まいを求め続けて、ようやくひとつの物件を探しあてたが、農薬がまかれる季節になると、とても住めないことが判明したケースなど、見ててこちらの息がつまりそうになる酷い現実だ。気になったのは、医療関係の学者などが一切登場しない点だ。現在、厚生労働省の科研費をつかっての調査研究は緒についたばかり。この病に対する医学の見地からの明確な位置付けができていない現状がもどかしい。

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