北東アジアに幅広く漂う「嘘」を見破るための手引き

 先日、「正論新風賞」を受賞された古田博司筑波大教授はこれからが楽しみな朝鮮半島の専門家だ。数年前に中嶋嶺雄国際教養大学学長がかかわられた会合でお会いしてから、懇意になった。先日の授賞式では、大賞を受けられた佐々淳行氏に話題が集中する傾向が否めなかったが、古田氏も決して眼を離せない。祝意を表明するために、人垣をかき分けて古田ご夫妻のところへ行くと、ちょうどジャーナリストの櫻井よし子さんと歓談中だった。このお二人に、作家の関川夏央氏を加えた鼎談「韓国・北朝鮮『自己絶対主義』の心理構造」を読んだばかりだったので、タイミングがよかった。櫻井よしこさんは、薬害エイズをめぐる問題で一世風靡の存在になってから、郵政民営化問題をはじめ諸事万般にわたり発言している硬派の論客。かつて、私の「忙中本あり」の冒頭で、彼女と荒井広幸議員の論争を取り上げたことがある。「荒井さんもなかなかしぶといですね」と話題にすると、「彼はとんでもないことをいったのよ」などと物騒な物言いをされ出した。中身がなにかを聞く暇もなく前を立ち去らねばならなかったのは残念だった。

 鼎談は鄭大均・古田博司編「韓国・北朝鮮の嘘を見破る―近現代史の争点30」の巻頭に掲げられている。この本は同じシリーズでの中嶋嶺雄編著「歴史の嘘を見破る―日中近現代史の争点35」と並んで、実に面白い読みものが満載されている。中国、北朝鮮、韓国の北東アジア地域を勉強する人にとってこの2冊は必修の書物だと思う。この分野に縁の遠い人にとっては、タイトルが過激なため敬遠しがちになるかもしれないし、よく知ってる人はずらっと並んだ書き手の一覧を見て、偏った論調だとして遠ざけられよう。ただ、どちらも食わず嫌いだと思う。それぞれの文章は短くまとめられ読み易い、各争点ごとに文末につけられた<読書案内>は非常に役立つ。

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