イラク問題の総括と9 条堅持論

 公明党の国会議員はなぜ米国のイラク侵略支持に党を挙げて反対しないのか。支持団体である創価学会の精神に反するではないか―防衛省元幹部3人による「我、自衛隊を愛す故に、憲法9条を守る」という本のなかで、こうしたくだり(趣意)を見い出した。小泉首相のあの素早い支持の決断を、やむなく容認した公明党の現場の責任者(安保部会長=当時)としては、見逃せない箇所だ。かねてこの問題の総括をせねば、と思ってきただけに、考えをまとめるいい機会となった。

 あの頃私は機関紙に首相決断支持の理由を二回にわたり書いた(04年2月2日と3日付け)。イラクにおける事態は、13年戦争の枠組みでとらえる必要があると説き、大量破壊兵器がないとするフセイン政権は、自らそれを証明する責任があると主張した。度重なる国連決議無視は、武力制裁を受けるに値するまぎれもなき反国際社会行為だ。13年に及ぶ不幸な事態に決着をつけるための米国の意思を支持した、日本の決断とそれを支えた公明党の選択は、あの時点において、間違いではなかったと今も思う。”戦争と平和”は現実の世界では残念乍ら表裏一体であり、政治の現場では、平和を叫ぶだけではすまないケースが多々ある。

 この本に登場する三人は、人事教育局長、官房長、政務次官とそれぞれ旧防衛庁の元幹部。かねてからいずれも反戦の論陣を張ってこられている。この本も平和を志向される著者たちの熱い思いが切々と伝わってくる良書だ。竹岡勝美官房長は随分前から存じあげている。領域保全に徹した公明党の専守防御論には強い賛同の意を表明していただいていた(冒頭の発言は竹岡さんのもの)と記憶する。

 憲法9条をめぐる議論は、専守防御は当然として、同時に国際社会との協調をどう培うかに焦点がある。この辺りのことに三者とも突っ込んでおられないのは惜しい。合わせて竹岡さんのご主張は、対米追従をきらうあまり必然的に自主防衛論に赴いておられる。米国の核の傘からの離脱は言うが易く行うは難しの典型だと思う。時間軸を導入しないで、自主防衛の可否を論じられないが、私には9条と自主防衛が両立するとの想像力は乏しい。憲法9条を堅持するとの姿勢を保ったうえで、現実世界の中で日本がどう生きるかを考え続けている。

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