100年先を見通した森林づくりに”熊との共生”の視点が抜けているのはおかしい―このほど農水省がまとめた「森林及び林業の動向、施策についての概要」を審議した党の政調全体会議で私はこう発言をした。熊が森の中で生息できる環境を作ることこそ、美しい森づくりに欠かせぬポイントなのだが、相変わらずわが農水省や環境省はわかっていない、というのが偽らざる印象だ。
昨年秋に、政府は100年先を見通した森林づくりと国産材の復活を目指した新たな森林・林業計画を策定し、今動き始めている。新たな施策の中身は、1)100年先を見通した森林づくり(広葉樹林化や長伐期化等の推進)2)多様化するニーズに応えた森林整備と利用(花粉の発生抑制のための取組や森林環境教育などの推進)3)国有林と民有林の連携の強化(国有林と民有林が一体になった流域の保全、木材の安定供給の促進)4)流域の保全と災害による被害の軽減(流域全体を一体とした計画的な治山事業等の推進)5)国産材の利用拡大を軸とした林業・木材産業の再生(消費者ニーズに応えた製品開発などの推進)―などとなっている。
この5点それぞれに大事なものだが、熊が生息できるような森を復活できるかどうかが、美しい森林づくりに欠かせないというのが、私の主張である。熊が山から降りてくるという現実は、熊がすめないほど森が荒れているということとみるべきだ。戦後の高度成長期に国産木材への急速な需要に応じるために、日本全国に無計画に針葉樹林を植えまくり、広葉樹林をおざなりに放置した結果が、今の森林の荒廃といった事態を招いている。また、森林における土壌の貯水力の減退から災害をもたらす元凶にもなっていることは明らかなのだ。そういった反省に基づき、ブナやナラの樹々の間に広がるまほろばで遊ぶ熊の姿をほうふつとさせる視点を盛り込むべきなのに、そういうものはみられない。なぜ、熊がエサをもとめて人里におりてくるのか深く追求せず、防除技術や捕獲方法をどう開発するかのみでは困る。これでは、100年後の結果に期待はできそうにない。
Posted on 07.04.27 by AKAMATSU Masao
Filed under: 赤松正雄のブログ

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