"新三国志の時代"に生き抜く知恵こそ必要

 野党時代の公明党にとって、最大の眼目は55年体制の打破であった。自社一か二分の一体制とも呼ばれた時代はまさに、第三の勢力としての公明党の揺籃期であり、打ち倒すべき対象としての自民、社会の両勢力はあった。それはまた、保守と革新を止揚せんとする中道としての公明であり、まさに三国志的世界観が相応しかった。

 しかし、90年代劈頭のソ連の崩壊をきっかけに、日本国内でも社共など左翼勢力の衰退は著しく、保革対決の構図そのものが無意味となった。それに替わって、今は同じ体制内選択としての自民・民主の二大政党体制への過渡期にあるといえようか。衆議院の選挙制度が300議席を選ぶ小選挙区制と180議席を11のブロックの拘束名簿から選ぶ比例代表制が抱き合わせになっている今の選挙制度が続く限り、公明が第三の、しかも少数の勢力としての位置から抜け出すのは至難の業だ。小選挙区で勝ち抜くために、当面は自民党との選挙協力が欠かせない。

 今の民主党に政権担当能力があるとは言い難いが、将来は分からない。政権交替可能な政治システムが民主主義社会に相応しい以上、二つの巨大政党あるいは二つの連立勢力が交互に政権を占めることを否定することは出来ない。ゆえに、公明党が政権の座にすわり続けて当然と決め付けることは矛盾する。自民党とほぼ永続的に連立を組むのも選択肢の一つだが、非自民、非民主でテーマごとに連立相手を変えるという選択肢もある。勿論、あらためて政界再編が起こるかもしれない。ともあれ、イデオロギーや国家主義の相克を超え、市民本位の政治を競いあう新しい国盗り物語の時代に入った。今こそ公明党にとって”新しい三国志の時代”の地平を切り開く知恵が必要ではないのか。

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