現代の不良少年たちによる「必殺仕事人」の魅力

 「石田衣良の『池袋ウエストゲートパーク』って面白いよ、君の好みじゃないかもしれないけど、お勧めだね」。死に至る病で闘病中だった従兄弟から、こうメールを貰ったのは二年ほど前になる。読みかけてみたものの、あまり気乗りせず投げ出してしまった。それが、彼の死をきっかけに、妙に気になってしまい再び挑戦。一気に深みにはまった。

 池袋西口を舞台に、主人公マコトを中核にした不良少年連中が”必殺仕事人”のごとく次々とワルを懲らしめ闇にほうむる。痛快だ。五年前に直木賞をとった著者のデビュー作。すでに世に出て十年余が経つ。話の展開に物足りなさもある(連作の『オアシスの恋人』なんか期待外れ)が、なんといっても軽快というか奇妙な文章の運び方が魅力的だ。普通の世界からはみだした若者が現代の風俗のただ中で蠢きばっこする悪を、チームを組んで叩きのめすなんて発想が素晴らしい。「10年遅れてるよ、なにを今ごろ」と言われてもいい。「石田の文章はいいが、彼のTVでの発言はどうもね」との声もきく。尤もこちらは初対面だから・・・。

 池袋といえば、私の学生時代によく通った街だ。40年前。東京オリンピック直後だから比ぶべくもないが、久方ぶりに行ってみたい気がつのってきた。ともあれ、従兄弟が肝臓ガンと戦いながら、私に読ませようとした本を、彼があの世に逝ってから読み終えたのは口惜しい。読後の思いを聞きたかったがもはや遅い。余命3ヶ月といわれながら、2年近く生き延びえた彼。この本をはじめいつもと変わらぬ読書量。死の床にあって勇気づけたものは何か。話したいことは山ほどあるのだが、今となってはかなわない。

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