アフリカ 嗚呼 アフリカ・・・

 クッキーやキャンデーを外国人からもらったアフリカの子供たちは、いったん口に入れてからまた出してポケットに入れる。家にいる弟や妹に食べさせようと思うからだ―現代日本人の抱く不満や不信のありかに警鐘をならす曽野綾子さんの文章にはいつもながら胸打たれる。「格差意識と一枚のクッキー」と題する産経新聞10月24日付けのコラムはなかなか読ませた。

 アフリカに関しては、関連の映画を観たりすることはあっても、確かな情報に接することはあまりない。松本仁一さんはかねて私が注目してきたアフリカに詳しいジャーナリストだ。彼の『アフリカ・レポート』は期待通りの中身であった。アフリカの時代といわれたのが1960年代。既に半世紀が経つ。当初の勢いとは違って、国家は独立したものの、多くの政府は国民の富を奪うだけで何もしてくれず、何時までたってもどの国民も悲惨な生活を余儀なくされている。

 このレポートでは、そのあたりの事実関係を克明に分かりやすく知らせてくれる。とりわけ、「安全」と「安心」が危機に瀕する南アフリカについては少なからぬショックを受けた。なぜなら、サハラ以南のアフリカではここだけは進んでいる国だとの錯覚が私にはあったからだ。南ア、アンゴラ、スーダンなどアフリカのいたるところで見出される中国人の姿についてや、在日アフリカ人の4人に一人がナイジェリアからという例に見るように、世界中に逃げ出すアフリカ人の内実なども興味深い。

 どうしようもないアフリカ各国の政府に対してODAをせっせと渡し、地べたを這い蹲る庶民にはいくはずもないにもかかわらず、それに満足している日本政府。読み進むにつれて救いはないのか、と暗い気持ちになるばかり。それが、後半一気に覆される。ジンバブエの農業NGO、シェラレオネ内戦の兵士たちが始めたバイオタクシー、セネガルの漁民が経営する生牡蠣屋台など、新しい息吹きが感じられる動きもある、と。「国の独立」から「人々の自立」へ、と新しいダイナミズムが生まれつつあるとの記述には正直ほっとする。ただし、絵で書いたような、暗から明の展開に、いささか楽観主義にすぎるのでは、と疑ってかかる気分がこみ上げてくるのは、私の性分ゆえか。

 この辺については、たまたまこのたび南アフリカ大使として赴任することになった小沢俊朗さんに、しっかりと見届けてきて欲しいと、伝えた。

Leave a Reply