学問上の師たちの相次ぐ死

 永井陽之助先生が亡くなった。新聞報道によると、既に随分前に亡くなっておられたと言うから、驚いた。もう永きに渡って病気を患われ、文筆活動はされていなかったので、遠からずとは思ってはいたが、実際に訃報に接すると堪らなく寂しい。先生には、慶応大学在学中に、非常勤で東京工大から講師としてこられていた際に、『現代政治学入門』や『平和の代償』を教えて頂いた。後に熟読玩味した『現代の戦略』と共に、私にとっては国際政治学開眼の書となり、ある意味でその後の人生を決定づけて頂いた。

 永井先生と共に同時期に教えて頂いたのが、中嶋嶺雄先生(当時は東京外大講師)。中嶋先生とは、大学卒業から今日に至るまで様々な機会に直接教えて頂き続けている。私にとって先生の『現代中国論』は、学問上のてほどきの書となった。先日も『日本人と中国人ここが大違い』なる本を読んだ。20年も前に出版されたものを手直しした増補版だが、改めて読むと新たな発見をする。永井先生にヴェトナム戦争を通じてアメリカの何たるかを教えて頂いたが、中嶋先生には文化大革命を通じて、共産主義中国の捉え方を学ばせて頂いた。

 先日、もう一人の師、神谷不二先生も鬼籍に入られた。神谷先生は私が卒業後に大阪市大から慶応に来られたので、直接教えて頂いたわけではないが、晩年になられ定期的な私的勉強会で教えて頂いた。『朝鮮戦争』は、教え子の小此木政夫教授(私とは同級生)に引き継がれた名著だが、私にとっても懐かしい。神谷先生とは、一度二人きりで、食事をご一緒しながらお話ししたが、「公明党と創価学会について教えてほしい」との要請をうけてのものだった。あれこれ真剣にお伝えしたことを懐かしく思い起こす。

 知的所産をあますところなく伝えていただいた師たちの別れの報は悲しいが、それを乗り越えていくことが、ご恩返しとなるに違いない。

Leave a Reply