「『難有る』を、『有り難い』に変えていくのが人生」、「人は変えられない。自分が変われ」―読み進むにつれ、私自身が教えられ、自らの信条としてきた生き方の指針が次々と出てきた。それでいて、新鮮味に溢れている。上甲晃『人生に無駄な経験などひとつもない』だ。
読むに至ったのにはわけがある。日頃から親しくして頂いている中企業の社長と懇談している際に、今の日本社会を根底から変えたいとの上甲晃氏の高い志を絶賛する話が繰り返し出されたからである。上甲氏とは、松下政経塾の元塾頭で、現在は志ネットワーク代表で、「青年塾」塾長。同社長は、このところ、傾倒を強め、先ほど箱根で開かれた「青年塾」の大会に参加し、世直しのための国民運動を起こすしかないとの主張に深く共鳴されたとのこと。私はこの話を聞いて急に思い立って本を手にしたというしだい。
松下幸之助氏との出会いから薫陶など様々のエピソードや、上甲氏を取り巻く人々の経験談はどれもこれも面白く興味をそそられる。とくに、夕張で戦うメロン農家や医療センター所長の実録はひき付けられた。
最も共感したのは、「今が百年に一回の危機だとするなら、百年に一回の生まれ変わりのチャンスを手にしたのだ」との記述。1)右肩上がりの経済 2)資源浪費型社会 3)お金万能社会 4)他人依存型社会 5)ふやけた贅沢病の五つときっぱり別れる今がチャンスだとの主張である。
上甲氏は今の政治に深い失望をしていて、松下政経塾出身の政治家にも不満のようだ。それゆえ、政治や政党とは別に幅広い国民運動を展開したいとのことのようだが、すでに先行している同じような志をもつ集団との連携も大切だろう。そのあたりの戦略やら思いは、この本からはうかがえない。今後の著作や、行動が大いに待たれるところだ。
Posted on 09.03.28 by AKAMATSU Masao
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