次郎と正子を赤坂御苑で想う

 白洲次郎と正子―先に三田市を訪れる機会があった際に、つかの間の時間をとって彼ら二人の眠る菩提寺である心月院に立ち寄った。静かな佇まいのお寺の庭の中で少し離れた場所に位置する広場のようなところに通例のお墓らしくない墓がひっそりとあった。二人の日本史に残した功績からすると、あまりに小さなお墓ではあった。白洲正子に私がすっかりはまったことは既に書いてきたし、読みもしないのに、将来のためにと、今、全集を毎月一冊ずつという購入の仕方で集めている有様だといえば、その凝り方が分かっていただけよう。

 で、白洲次郎については、彼が書いた本そのものがないとのことなので、放置してきた。が、NHKのスペシャルドラマが放送されるに及んで、時々「今の日本の政治家に白洲次郎のような人が一人でもいればいいのに」と持ちかけてくる人がいる。ということもあって、北康利『白洲次郎 占領を背負った男』上下を読むに至った。なによりも口絵に感心した。日本人離れした端正なマスクには、これまた知的でとびきり品のある正子がひとめ惚れしたであろうことが良く分かる。こんなに似合いの夫婦はいないのではないかと、改めて大変に感激した。戦後に今の日本憲法が出来るにあたっての裏舞台での活躍はこれまで話としては知らないではなかったが、この本を通じて克明に分かった。吉田茂の懐刀として縦横無尽に活躍した当時が彷彿としてきて、楽しく、かつ有意義な本ではあった。近く、今年の憲法記念日がくるにあたって、読むにはいいタイミングではあった。

 丁度、16日は赤坂御苑で天皇皇后両陛下を迎えての園遊会があり、総務委員長としてご招待を頂いたので、各界の方々が多数夫婦同伴で参加されていたのだが、私は一人で参加した。どこまでもまっ青な空の下、緑滴る樹木の間に、広がる青々とした芝生。そこにしつらえられた椅子にすわり、行きかう夫婦連れを見ながら、次郎と正子の二人の駆け抜けた人生と日本の来し方に想いをめぐらせた。

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