年末の挨拶回りをしていて、こちらが持ち出さない限り、本の話になることはあまりない。ところが、先日は大手ゼネコンK建設の神戸所長が、会うなり野村克也前東北楽天ゴールデンイーグルス監督の書いた本の話をされだした。「今まであまり好きではなかったが、野中広務、野村克也の『憎まれ役』を読んでから嵌っている」と言われる。当方は、ガキの頃からの根っからの南海ホークスファン。それも鶴岡一人監督時代の。その後どう展開したかは、帰り際に『あぁ、監督』を借りて帰ったことをもって、お分かりいただけよう。上京の車中でほぼ全部読み終え、懐かしい思いに浸ることが出来、幸せな気分だ。
野村克也という人ほど著作の多い監督も珍しい。数多ある本の中でどれを読もうかと悩みつつ、所詮野球の話だろうと、高を括っておざなりにしてきた。それが読む羽目になってしまった。昭和30年代に野球少年であった身にとって、野村と鶴岡の不仲のわけや、森と野村の知略を尽くした対決話など、殆ど知っている話ばかり。改めてこんなことを書いているから野村監督は憎まれ、嫌われるのだろうな、といったことのオンパレードだ。
それでも弱小チームをあっという間に優勝を狙うまでに変身させるこの人の力はホント並みではない。かつて9年間経験した評論家時代に野球評論を学問、いや芸術にまで高からしめた能力は神業に近い。くだんの所長も文中にある「組織はリーダーの器より大きくならず」との言葉を引きながら、いたく「リーダー論」に感心をされていたが、会社組織を中心に人を引っ張ることを宿命づけられている人々にとって大変に役立つ話が満載されている。私など今からでは、読むのが遅すぎてどうにもならぬが。
野村監督で唯一謎に包まれているように思えるのは現夫人との関係性。このあたりの秘話を公開してくれると面白いのだが。次は夫婦論を期待したい。
Posted on 09.12.19 by AKAMATSU Masao
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