今の国会が予定通り終わると、参院選の投票日まであと50日余り。国会論戦も佳境に入り、民主党批判の矛先を磨く上で参考になる本を読む機会も勢い増える。内政ものでは、高橋洋一、須田慎一郎『偽りの政権交代』が、小泉改革を全面肯定する立場からのものだけに、滅法歯切れ良く実に面白くためになる。また、今話題の沖縄ものでは、一貫して現実的な解決策を提示してきた小川和久『この1冊ですべてがわかる普天間問題』がこのうえなく小気味いいし、屋良朝博(沖縄タイムス記者)『砂上の同盟 米軍再編が明かすウソ』には、改めて沖縄の心を知って慄然とする思いだ。ただ、仕事関連本の読書評はなるべく避けたい。
ここでは、昨年の読書界の話題をさらった村上春樹『1Q84』の三冊目を。BOOK1と2に比べて3の売れ行きは少々鈍いように思われる。昨秋10月に私は「ポルノもどきのSF小説」「桁違いの凄さと酷さの区別つかぬ」と二回にわたって書いた。第三巻も基本的にはその思いは変わらないどころかますます募る。二つの月に加えて性行為なしの妊娠話が登場して常人の頭を混乱させる一方で、必殺仕事人まがいの針による殺人に代わって、窒息死に至らしめる殺しのテクニックの精密きわまる描写ぶりには息を呑むばかり。
村上春樹の比喩の巧みさと豊かさには舌を巻くし、あれこれ文句をいいながらも最後まで読むのは、それだけの魅力があるからに相違ない。それが証拠に今、『ねじまき鳥クロニクル』に手を出そうとしている。村上春樹の世界に私も取り込まれつつあるのかも。『1Q84』の最終的な評価は、恐らく天吾と青豆の生まれくるこどもの物語として書かれるであろうBOOK4を読むまで留保するのが無難かもしれぬ。
Posted on 10.05.22 by AKAMATSU Masao
Filed under: 赤松正雄の読書録ブログ

Leave a Reply